ceroの1st Single ''Yellow Magus'' はこれまでの楽曲の中でも、（音楽的なことだけ言えば）ブラックミュージックの感覚を多分に含み、メロウな部類の曲である。どこかストレンジで、幸福感と悲壮感が同居している。その中に飛び切り良いメロディとコーラスワークが顔を覗かせ、素晴らしいバランスの上に成り立っている。これは今後のcero の代表曲の1 曲になっていくだろう。そして歌詞と曲で生み出すこの世界感の凄さ。これは単純に興奮を隠せない。ワクワクする。 cero は2nd Album''My lost City'' で、自らが想像（創造）したパラレルワールドと実世界との接続を、奇跡的なバランスでもって共存させ、それらをシティポップとして希望を込めて作り上げた。生み出した音楽達は世代を越えて絶賛された。そんな彼らが多くの経験を経てリリースする今シングルはcero の目指す新しい指針であり、実験であり、想像であり、興奮である。2nd で見せた架空の世界の海から出港し、向かう先は砂漠へ。cero は東に向かう。船は海から陸にあがり、砂漠へ向かう。 シングルでありながら、ここまで聞き応えあるのも珍しいくらい充実した4 曲が収録されており、その4 曲ともが地続きで繋がっている。 新たな誕生、再生と復活。そして荒廃して行く都市と遠い星。オフビートに潜むcero の才能。これは本当に凄い。cero が今後の日本の音楽の変遷を担っていくバンドのひとつに違いないと、''Yellow Magus''を歌詞を読みながら聴いているとやはりそう感じるのである。僕が20 代前半だったら、もう堪らなくてしょうがなかったに違いない（ちなみに35 歳でも堪らない）。ワクワクドキドキが止まらない。何度聞いても飽きない。頭の中で鳴っていて欲しい音楽を奏でてくれる。まだ見ぬ映画のような世界を僕らの想像力を刺激して実現させてくれる。cero はいつだって、聞き手を興奮させ、想像力を喚起させ、彼らの生み出した音楽を聞き手に委ねて定着させる。 これは新しい情景を生み出すことであり、余白を埋めながら創造することである。今作、そして次作と続くcero の作品群がすでに待ち遠しい。これは本当に凄いことになっていくcero の序章だ！　必聴！