東京を拠点とするアーティストYoshino Yoshikawa(ヨシノヨシカワ)は綿密に作り込んだデジタルサウンドをエモーショナルな音の花火に変えることで、興隆激しい日本のエレクトロニック音楽シーンにおいて独自の存在であり続けている。 10年以上にわたってネオンきらめくキャッチーなシンセポップを、Maltine Recordsや米国Zoom Lensといったネットレーベルからリリースしてきた。自身の泡立つようなサウンドを表す「Ultrapop」を標榜してきたヨシカワの新作EP『Secret Key』では、勢いを失うことなくそのスタイルに磨きをかけ続けている。  人気のインデペンデント音楽イベントであるM3でリリースされたSecret Keyは、シンセパワーでセロトニンを増加させるインストゥルメンタルパッセージが中心となっている。タイトル曲はヨシカワ自身がボーカルを担当し、インターネットカルチャーと自身のつながりをリフにしながら、電子音の軽快なコレクションにのせて現実の誰かとつながる方法を探している。Secret Keyに収録されている他の4曲はヨシカワのスキルが最大限発揮されており、スタッターしたビートと折り重なったテクスチャが交錯し、賑やかでありながら浮遊感のある楽曲を形成している。 音から最大限のフィーリングを引き出す手法がUltrapopだとすれば、Secret Keyはメロディーと個々の音だけでそれが実現可能であることを示している。